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『Mank/マンク』

『Mank/マンク』

デヴィッド・フィンチャー監督、ゲイリー・オールドマン主演の『Mank/マンク』は、執筆をテーマにした作品と言われています。ハリウッドの脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツ(ゲイリー・オールドマン)が、オーソン・ウェルズの名作『市民ケーン』(1941年)の脚本に奮闘するという舞台裏側を描いたもの。しかし映画作品としては、演技の観点から考えた方が有益かもしれません。本作は、ロールプレイングとしての映画製作であり、主人公は自分自身を隠すことに情熱を傾けています。

このことは時に、フィンチャーの亡父、ジャックが脚本を担当した本作の演劇スタイルに反映されています。機知に富んだセリフが詰まっていますが、ヘビー級のエゴに満ちた人々が絶え間なく、次々にそうしたセリフを語るという手法に依存しています。